2008-04-21から1日間の記事一覧

農業を採用したのは人間にとってよい方向だった。より多くの人間が豊かに生きていけるのを可能にした。その中で環境と折り合っていくのか、その方法を探ることが大事である。人間の文明、文化はもはやはずせないと思う。 / 農業は罰ということもできる、という発想は新鮮ながら充分に理解できるものでした。蓄えが可能になったから争いが始まったという理屈も、ある意味罪と罰の形に還元されるのでしょう。ただそれは、詰めていくとその方向に進化した人間そのものを罪とするようで少し怖いです。

現実的には、現在の人類が狩猟採集社会へ復帰することなど不可能でしょう。我々としては、現在の水準をある程度維持しつつ、これ以上環境を悪化させない方法を模索するしかありません(その結果、地球が緩やかに滅びの道を歩んでゆくとしても、です)。しか…

(2) 環境史の課題で出てきた、「日本になぜ欧米に匹敵する生態学的危機がもたらされたのか」という問いの答えがよく分かりませんでした。

結局、日本でも欧米と同じような感覚で環境破壊を行っていたということです。しかも、日本の場合には自然環境に対する依存の度合い(甘えといってもよい)が高かったため、自然に対する責任といった主体的態度が醸成されにくく、歯止めのきかない惨状を招い…

IPCCによる温暖化の報告のところで、海面上昇すると水不足になるとありましたが、温暖化すると逆に降水量は増えるのでは?

温暖化により乾燥化が進む地域も多くあります。たとえば南米アマゾンの熱帯雨林では、2070年頃までにサハラに匹敵する規模の砂漠が出現すると考えられていますし、氷河や山地の氷雪の融解水を利用している地域など、北半球の大半は干ばつに襲われることにな…

マルクス主義歴史学と、マルクス主義社会経済史は違うものですか?

マルクス主義歴史学の、社会経済史分野ということで理解してください。そもそもマルクスの思想は社会学・経済学の古典とされているので、歴史学においてはかかる分野で受容が進んだわけです。とくに歴史学では、マルクスの盟友エンゲルスとそれらの思想を政…

同時代の海外の国々の自然に対する考え方はどうだったのでしょうか。

同時代、とはいつのことを指すのでしょうか。20世紀とすれば、これまで講義でお話ししてきた情況とさほど変わりありません。あくまで、世界のなかで日本はどうだったか、という観点で話をしています。ただし、環境問題に対する意識の向上や実際の対応は、ヨ…

社会のなかで人間の文化や思想が変化するのは明白なので、心性史のような考え方が今までまったくなかったとは考えられないのですが、近年盛り上がっているのには何か理由があるのですか?

心性史の成立と展開については(とくに環境文化研究との関わりに於いて)、以前「〈環境と心性の文化史〉へ向けて」(増尾・工藤・北條編『環境と心性の文化史』上、勉誠出版、2003年)で詳しく触れたことがありますので、場合によってはそちらを参照してく…