2008-07-04から1日間の記事一覧

西洋古代、キリスト教では「徴利禁止法」がありましたが、日本の寺にもそのような法令があったのでしょうか。

古代国家は仏教を支配のイデオロギーとして称揚しますので、当初は氏寺も含めた全寺院に財政的援助を行いますが、やがて国家公認の寺院や官営寺院のみを保護するようになってゆきます。その転換点のひとつになるのが霊亀二年(716)の寺院併合令で、豪族が利…

「3」という数字は、他にも三位一体や籤を3回引いたりさまざまなところで出てきますが、別段特別な意味は持っていないのではないでしょうか?

世界の習俗に「3」を表示するものが多いのは、ひとえにこの数字が世界を表す基本だからです。数学的にも物理学的にもそうなのですから、かかる知識は古くから判明していて、古代宗教にも反映しているのです。それ自体が特別な意味づけなんですね。三位一体…

九字護身法で、空間に目がたくさん出来て、鬼が惑わされるというのが面白かった。鬼は目の向こう側に来ようとするのですか? / 網の目状にするということは、都が条坊制によって網の目状になることと関係があるのでしょうか。

そうですね、自分に襲いかかってくる邪霊の目を惑わす、という方法です。目は古代中国から呪力の宿るものと考えられていて、戦場には「媚」という呪法を使うシャーマンが駆り出されていました。鬼霊が目に反応するのもそういう認識の反映でしょう。ところで…

蘇民将来信仰は現在でも残っているそうですが、イメージが湧かないのでぜひ写真でみてみたいです。 / 蘇民将来は、最近話題になった蘇民祭と何か関わりがあるのでしょうか。

まさに、黒石寺の蘇民祭も蘇民将来に基づくものですね。裸の男たちの争奪戦の対象となる蘇民袋のなかに、講義で紹介した蘇民将来札が入っているわけです。札、護符には、講義で紹介した藁作りの簡略なものからしっかりした六角形の角柱状のものまで、いろい…

日本でも三途の川の渡し銭というのがありますが、紙銭はこれと関係があるのでしょうか。そもそも、あの世でもお金が取られるというのは、なんだか納得できません。

繋がりがある習俗だと思います。「地獄の沙汰も金次第」という諺には、もちろん日本の実情も反映しているでしょうが、そもそも中国的冥界が中国王朝の官僚社会に基づいて構築されたことを引きずっているのでしょう。ただし、貨幣がアジア世界に誕生した殷王…

陰陽師が都状を書くときはどのようなときでしょう。貴族に頼まれて書くのですか。

まさにそうですね。陰陽師は貴族に招かれて泰山府君祭を行い、そこで都状を読み上げます。都状には、府君の管理する死籍(人間の寿命を管理する帳簿)を書き換えてくれるよう祈願する文面が書かれます。『朝野群載』には、永承五年(1050)十月十八日付の後…

『霊異記』の鬼が牛を食べるのは、古代中国で祀廟に牛が犠牲として供えられていたことと関係あるのでしょうか。 / なぜ冥界の使者は、豚や鶏ではなく牛の肉を欲しがったのでしょう。 / 食事を与える以外にも、鬼と交渉を可能とする方法はあるのでしょうか。

指摘のとおり、恐らくは三牲の習俗に基づくものでしょう。豚や鶏でないのも、三牲のなかで牛が最も高級な犠牲だったからです。しかし仏教の内的論理からすると、講義でもお話ししたように牛が人間に近い生命とみられていたことや、奈良〜平安期に度々流行し…

四天王と閻羅王とでは、立場に上下関係などあるのでしょうか。

四天王はインドで習合した方角神で、仏教の守護神=天部として須弥山に住んでいます。閻羅もインドの冥界の王ですが、中国で泰山府君と習合し、本来、現世での救済を本義とした仏教のなかではやや特殊な位置を獲得します。両者には確固たる上下関係はないよ…

六斎日は、いつも以上に神に祈願する日というよりは、物事を慎まなければならない日といった捉え方なのでしょうか。

そうですね。この問題については、以前、『日本仏教34の鍵』(法蔵館、2003年)という本に簡単に解説したことがあります。上智の図書館にもあるので参照してください(182.1:N7111)。また、六斎日の信仰は、中国の六朝時代に民間で確立され、隋の時代に日本…

地元の栃木県に国分寺町という町があります。東京にも国分寺市があるし、日本各地にあるのでしょうか。四天王と関係があるとすると、日本に四つあるのですか。

国分寺は、原則として、古代の行政区画「国」のひとつひとつに設置されました。私も執筆している別冊歴史読本『日本の寺院』(新人物往来社、2003年)の189〜191頁に、全国の遺跡等の一覧が掲げてありますので参照してください。ただし、現時点でこの表がい…