2009-05-22から1日間の記事一覧

石川麻呂、摩理勢のように反乱を起こして死んだ場合、その職掌は蘇我氏の誰かに引き継がれるのでしょうか。あるいは没収されてしまうのでしょうか?

石川麻呂の場合をみると、その財産は中大兄が命令して収公しています。職掌の任命は、それが公のものであれば大王の権限ですから、一度大王のもとに返還され、群臣の意見を聞いたうえで適任者が選出されたものと思います。当然、朝廷を把握している人間の意…

蘇我石川麻呂の娘が異母弟日向に奪われたとの話は、近親相姦になるのではないかと思います。大王家内部での伝はあるとしても、臣下の事例は処断の対象になったのでしょうか?

唐律で最大のタブーとされた十悪には近親婚(「内乱」)が含まれていますが、それを継承した日本の律令では八虐となり、近親相姦は除かれています。唯一規定があるのは父祖の妻との奸で徒三年、唐律が父祖の妾との奸でさえ絞なのに対し、明らかに軽い処罰で…

石川麻呂の子の「秦」が気になるのですが、職掌以外で「秦」と出てくるのは珍しいのではないでしょうか?

他に事例がないわけではありませんが、どう考えていいか悩むパターンではありますね。ただし、藤原不比等が、幼少期に田辺史大隅の家で養育されたために「フヒト」と名付けられたことからすると、蘇我秦も、秦氏との関係を全体に考えた方がいいように思いま…

今回の講義のなかで、秦氏と蘇我氏が協力して寺院を建造したとありましたが、当時の建造ではどのような協力体制が採られたのでしょう。

考えうることは、1)人の移動(工人どうしが協力して活動する)、2)モノの移動(瓦などの物品のみが供与される)、3)技術の移動(建築・造営に関する専門技術が供与される)の3パターンとそれらの組み合わせです。具体的に、各寺院でどの形式が採られたか…

『日本書紀』は、朝鮮などの記事について改竄された箇所が多いとされていますが、国内のことは信用していいのでしょうか?

もちろん、きちんとした史料批判が必要です。崇仏論争については以前お話ししたとおりですし、大化改新をめぐる記述にも様々な潤色があります。聖徳太子関係記事も然りでしょう。現段階では、『書紀』各巻の成立時期が概ね判明してきており、使用された漢籍…