2009-07-03から1日間の記事一覧

県は、「直轄的な位置付けを受けた地域集団」とのことですが、この場合の地域集団とは具体的にどのようなものでしょうか。

県主に任命される豪族を首長にいただいた政治集団(幾つかの村落を含んだ領域的なもの)といえるでしょう。国造の治める国とどう異なるのか、なぜ県に位置付けられたのかは不明の点も多いですが、やはり開発に適した地域や交通の要衝、周辺の共同体を集める…

神格の移動など、豪族レベルで勝手にやってしまってもいいのでしょうか。天皇家はどの程度管理できたのでしょうか。

王権が各氏族の「神」までをとりあえず把握しようとするのは、天武から元明にかけての国史編纂が最初で、このとき初めて神統譜も作成されたようです。しかし、その目的は氏族におけるウジ・カバネの混乱、すなわち王権との関係の来歴の捏造を正すためで、そ…

葛野王に関する推測にはやや疑問があります。地域名から人を識別するのはやや乱暴ではないでしょうか。/ 葛野王に関する伝承は少ないのでしょうか。

皇子や皇女に冠された名前は、原則としては、養育氏族やその根拠地から付けられたものと考えられています。葛野王も、葛野地域に根拠を持つ豪族に養育されたとみていいでしょう。彼の出自や来歴は、『続日本紀』や『懐風藻』によって追うことができます。大…

賀茂別雷命は、天の父に酒を捧げにいったまま、戻ってこなかったということですか?

雷神なので、やはり天に昇ったということでしょう。これまでお話ししてきたように、雷神は農耕の必要に応じて天から勧請される存在になるのです。

神聖なものは河上から流れてくるという発想は、天にいる神に近い場所ということなのでしょうか。

この場合の神聖なものは、天神/地祇の区分でいうと地祇なんですね。ですから、雷神として天にあっても、それは地上の領分でいわゆる高天の原には由来しない。川上から神が流れてくるのは、その源流たる湧水点、あるいは山が神のある場所として聖別されてい…

玉依日売の「玉」は神霊を表すとのことですが、生命を指す古語の「玉の緒」とはどの程度関わってくるのでしょう。『新古今集』に載る式子内親王の「玉の緒よたへなばたへね…」の歌は、恋の悩みによって神霊との繋がりを断つという意味にも解しうるのでしょうか。

玉依日売の「玉」も玉の緒の「玉」も、基本的には同じ意味で神霊を指します。これを近現代的に、神の魂、人間の魂、心霊、生命、などと区別して考えるとややおかしくなるのですが、古代においてはこれらは等しく「タマ」と呼ばれるもの、根を同じくする生命…

ヤタガラスのほかに、王権と深い関わりを持った動物はいたのでしょうか。

確かに、始祖として動物を置く、一種トーテミズム的ともいえる発想は、日本古代では珍しいかも知れません。しかし神話のなかでなら、蛇の正体を持つ三輪山の大物主神や、神武天皇の祖母にあたりワニ(もしくは龍)を正体とする豊玉毘売など、幾つかの例を挙…