2009-10-21から1日間の記事一覧
中国王朝にとっては、やはり、情報のあまりない辺境の小国という認識でしょう。隋の時代には明らかに「蕃夷」であったわけですし、白村江以降正式な国交もなかったわけですから。一方新羅にとっては、東アジアにおける競合国として注意すべき存在であったと…
『日本書紀』は編年体の書物とよく定義されますが、各巻は概ね歴代天皇の一代記になっていて、紀伝体の様式も備えています。紀伝体こそが中国正史のあり方なので、「紀」という名称を用いているわけです。一方の『古事記』は、フルコトフミというヤマト言葉…
各記事によって情況は異なるので一概にはいえませんが、『古事記』の方が赤裸々な伝承が描かれていますね。それ自体が、本来、各豪族の家々や、宮廷内で語られていた先人たちの姿だったのでしょう。これも近現代の感覚と古代の感覚との相違で、大王の滑稽な…
あれは「弩(オホユミ)」ですね。律令国家では各軍団に配備される通常兵器ですが、6〜7世紀の段階ではまだ一般化していませんでした。しかし『日本書紀』推古天皇26年条8月癸酉朔条では、高句麗からの献上品のなかにこの弩がみえます。ドラマでこの武器…
額に像を戴いて誓願する、というのがひとつの作法になっているのでしょうね。正式には像を前に柄香炉などを執って拝礼するのですが、陣中であるために略法で実践したのでしょう。また、太子は観音菩薩の化身であるともいわれますが、観音像は額の宝冠に如来…
『日本書紀』の崇仏論争記事では、豪族たちが神祇派/仏教派に分かれて闘争したように書かれていますが、それはフィクションに過ぎません。どうやら物部氏も仏教を信仰していたらしいことは、勢力範囲から発掘された寺院跡から推測されていますし、蘇我氏も…
精霊自体も殺してしまうということですね。上の回答にもちょっと書いたのですが、アニミズムにも歴史的な諸段階があります。階層・階級や上下の権力関係が希薄な社会形態ではあまりないことですが、強力な権力を持った王や国家が成立してくると、神殺しとい…
すべての殺害の場合に儀礼を行うかというとずいぶん少なくなるかも知れませんが、例えば狩猟に際して行う祭儀や呪いは現在の日本列島にも存在します。いつか映像でおみせしたいと思いますが、例えば高知県の山深い土地にある物部村という集落では、狩猟で得…
アニミズムにも多様な形態や初段階があるので、一概に「こうこう」と決めつけることはできませんが、そうした原始的な宗教形態が息づいている地域では、ヒトの霊魂も肉体から分離できます。やはり動物や植物と同じで、霊魂=精霊が本体なんですね。精霊は人…
ナシ族には、ナシ語という固有の言語があります(初級会話を扱ったホームページもありますので覗いてみてください)。ナシ語はナシ族の間で普通に話されていますが、その生活領域の中心である雲南省麗江にも多くの漢民族が共存しているため、大部分のナシの…
うーん、それは難しい問題ですね。まず、最初というのがいつなのか。列島固有の言語がいつ頃成立したのか。そのあたりの問題は厚い霧の彼方です。分かっている範囲でいえば、6〜7世紀に使われていたヤマト言葉には、現在は失われてしまった音韻が多く存在…