2010-04-30から1日間の記事一覧

獲った生き物の毛皮を剥ぐことには、どんな意味があるのでしょうか?

冒頭にも少し述べましたが、毛皮は狩猟における最重要の交易品であるとともに、動物の生命エネルギー、呪術的能力の宿る部位だと考えられていたようです。異類婚姻譚・変身譚でも、毛皮は異類への変身の道具として使用されます。次回扱う因幡の素兎の神話で…

史料2のワニの話は、互いに命や肉体を差し出しあっているのは分かるのですが、史料1には虎が単に「噛みついてきた」とあるので、契約を結ぶ云々より、ただの殺し合いにしか見えないのですが。

史料1にしても2にしても、現実における人間と猛獣との関係が「ただの殺し合い」であることは前提で、それがいかに表象されていたのかを考えることが重要なのです。史料1の虎は中国や朝鮮で熊と並び神としての扱いを受けてきた獣であり、膳臣もその交渉に…

死≠往生ですので、阿弥陀の背後に死の世界を背負わせるのは言い過ぎではないでしょうか。阿弥陀の背後にあるのは極楽浄土なのでは?

「死」のみというより、「死と再生」の世界が象徴されているということです。縄文のストーンサークルも前方後円墳も、思想的背景は異なるものの、いずれも死者の再生を願うものです。月は、満ち欠けという現象によりやはり「死と再生」の象徴とされ、装飾古…

イヨマンテで「丸太で絞め殺す」のは、熊の身体をできるだけ傷つけないようにそうするのでしょうか?

もちろんそうした配慮はあるのでしょうね。熊の精霊は耳と耳の間にいると考えられていたようですので、「魂と肉体の分離」を想定したとき、首と胴を分離するかのような所作が選択されたのかも分かりません。

飼熊送りの儀式には、成人していない子供も参加するのでしょうか。

講義で「古老たちが子熊に花矢を放つ」と説明しましたが、このとき、子供たちも弓をもって参加することがあったようです。村を挙げてのお祀りですので、子供のみが隔離されるということはなかったでしょう。もちろん、私たちの「子供にみせるには残酷すぎる…

納西族の祭祀を執り行うのは東巴ですが、アイヌにはそうした祭祀職はないのでしょうか?

アイヌにももちろんシャーマンはいますが、イヨマンテは長老が祭主を務めることが多かったようです。講義で紹介した映像は、アイヌ民族博物館が、若いアイヌたちへ伝統文化の知識・技術を継承されるため企画したもので、日川善次郎氏という古老の伝承知識に…