2011-05-20から1日間の記事一覧

近代オカルティズム全般を扱った概説、入門書のようなものはありますか?

津城寛文『"霊"の探究―近代スピリチュアリズムと宗教学―』(春秋社)、一柳広孝『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉―日本近代と心霊学―』(講談社選書メチエ)でしょうか。とくに入門書としては、後者が分かりやすいですね。

卜占に天文などは利用されなかったのですか。

もちろん、天文に関わる卜占も存在しました。『周礼』にも、やはり春官の所属で、憑相氏や保章氏という日月星辰の運行を観察し吉凶を判断する役職が記載されています。洛亀が具現化したかのような式盤も、天の運行と地の運行を連動させて占いをする道具です…

卜占が的中せず、国家から処罰されたりすることはなかったのでしょうか。

上記のような史料のなかには、卜占の結果をめぐって君主と対立し、処罰される事例もみることができます。現代の我々は、どうも卜占について胡散臭いイメージを持ってしまいますが、講義でもお話ししたように、その結果には一族や国家の命運がかかっている場…

周代においても、卜占が政治の道具になったり、政策の行方を左右するような効果を持っていたとの記録はあるのでしょうか。あるいは、卜官が自分の思うように結果を操作するなどのことはあったのでしょうか。

次回以降に扱う『春秋左氏伝』や『国語』などの説話的記録のなかに、幾つかのエピソードを見出すことができます。亀卜の結果がある程度の予言性を持ち、それを君主が受容するか拒否するかで、国の命運が大きく左右されたことを伝える物語も存在します。それ…

亀卜の機関に、一般民衆から徴発された「胥」「徒」が配属されていたとのことですが、国家機密レベルの問題を扱っている卜占の場に民衆が参加していてもよいのでしょうか。

講義でもお話ししましたが、彼らは雑務をこなす役夫ですから、国家機密に関わるような卜占の現場には顔を出していないと思われます。また、例えば竈に火をおこしたり、必要素材を運搬するために立ち入ったとしても、何が行われているのかは知りえなかったで…

亀を採るのが秋、殺害・整治するのが春とすると、この間の期間にはどのような意味があるのでしょうか。

どうなのでしょう。例えばアイヌのイオマンテは、春の狩猟に際して捕獲した子グマを大事に育て、秋の祭礼のときに殺害するという儀礼です。春から秋までの期間は、神霊としてのクマを接待する重要な期間で、この間に人間と子グマの間には擬制的な親子関係が…

亀人たちは、亀を殺すことで差別されたりなどしていなかったのでしょうか。 / 亀を運ぶのは亀人の仕事だったようですが、他の人が運ぶと亀が穢れるなどの発想はなかったのでしょうか。 / 亀人が亀を運ぶことについて、征旅とともに喪についても同様としていますが、亀が異界へ人を運ぶという考え方と関連しているのでしょうか。

講義でも触れたように、亀人は、恐らくはもともと亀の捕獲や生育に関する特殊知識・技能を持ち、貞人たちの配下にあって活動していた集団だったのではないかと創造されます。中国中原の文化は狩猟採集から牧畜へ発展してきた文化ですから、仏教が伝来してい…

亀に関する属性は、何のために区別されていたのでしょう。複数の条件を満たしていた場合には、どのように弁別したのでしょう。 / 亀の属性について、「玄」「黒」が分けられていましたが、どう違うのでしょう。

これについては分からないことが多いですね。実のところをいうと、『周礼』の記事やそれに関する鄭玄注が、本当に戦国時代や漢代の実態を反映しているのかどうか、立証できる材料はあまりないのです。確かに、何の根拠もなく記事が創作されたり、あるいはそ…

占いが王のものから一般に普及していったのはいつのことなのでしょう。またその際、恐れや抵抗のようなものはなかったのでしょうか。

これから扱ってゆきますが、戦国時代の末には一般化が始まって、卜占を専門に請け負う民間の集団が存在したようです。彼らの活躍は、近年の戦国竹簡史料の発掘でようやく分かってきましたが、秦や楚といった国の貴族たちがクライアントになって彼らを雇い、…

「頌」に関して、神の言葉がリズムをもって語られるのはアジアの文化と仰っていましたが、他の地域ではないということでしょうか? / 呪術とリズムの話に関心を持ちました。なぜ関係しているのでしょうか。身体の問題でしょうか。

講義でも説明しましたが、人間が神の言葉として伝わっているものを、典礼に整理して音律に乗せて述べる、という行為は創唱宗教に多く認められます。キリスト教にも、仏教にも、イスラム教にも確認できることです。しかし冒頭の講義でみたように、神憑りにな…

占いは、神話や言い伝えのようなものを意識しながら成立していると思いますが、間違っていますか?

「意識する」というと非常に広い意味になってしまいますが、確かに何らかの宗教的・神話的根拠は存在しますね。亀卜に関しては、これを裏付けるような古代神話はみつかっていないのですが、講義でも時折顔を出す『史記』亀策列伝のなかに、宋国の元王の故事…