2011-10-05から1日間の記事一覧
男尊女卑と決めつけてしまうのはどうかと思います。朝鮮半島などでは、姉と弟というケースもありますね。ただし、全体的には兄と妹が多く、これは例えば天皇と伊勢斎宮の関係にも似て、柳田国男によって「妹の力」と概念化されることになる現象です。その物…
赤色はいわゆる境界的な色、他界との接点であることを表す色だといわれます。古代では朱や丹といった赤色顔料が辟邪の威力を持つものとされ、墓や寺院、祀廟などに用いられました。赤は、それらのものを象徴する色彩なのです。また、七〜八世紀に中国仏教で…
殷代のそれについては、亀裂の読み解き方はよく分かっていません。しかし司馬遷『史記』の亀策列伝では、卜兆の詳しい形状とその意味が数条にわたって記載され、同じような形式の文献は、清代の『卜法詳考』、雲南の少数民族納西族の東巴経典などに図入りで…
鹿の肩胛骨を用いた骨卜は、日本では弥生時代前期から確認されます。卑弥呼より古い時代ですね。鹿の卜骨は、古代中国では山東半島を中心に展開しており、朝鮮半島からもみつかっておりますので、日本もそうした極東文化の一部に属するのでしょう。亀卜は古…
象形文字と甲骨文字とは対立する概念ではありません。甲骨文字は大部分象形文字の範疇に入るものです。そのうち卜占の「卜」の字は、鑽・鑿によって現れる亀裂の形を模写し、文字にしたものです。
殷代に亀卜に用いられた亀は、主にクサガメやハナガメといった、せいぜい20㎝程度の大きさの亀で、黄河流域ではそれほど珍しいものではなかったと思われます。ただし、大量に使用したためか、南方の同盟部族や支配下部族から亀甲を輸入していたらしく、その…
神という概念が、キリスト教の神と同じようなものであるとすると、それには当てはまりません。アジアの神霊は精霊的なもので、ときには呪術的な力を駆使する人間に付き従い、奉仕をするようなこともあります。司馬遷の『史記』に載る「亀策列伝」には、亀卜…
一般的にはそうみえますが、実はそうではありません。中国にしても日本にしても、古代からかなり大規模な開発や環境破壊を行っています。動植物の存在が現在の私たちより身近であり、彼らの文化を構築するために必要不可欠であったことは確かですが、そのこ…
もちろん、卜占が必ず未来を言いあてるとは限りません。しかし、例えば殷代の亀卜の場合は、王や王朝の権威を維持し昂揚させるため、作為的に的中したようにみせることもあったようです。卜辞には、占いの内容(貞問)を記した命辞、ひび割れ(卜兆)の意味…
占いとしての基本は変わらないのでしょうが、やはり国家的機関に所属する官僚たちが行っていた正式なもので、権威は非常に高いものでした。卜占専門の機関の存在は、それこそ殷王朝時代から確認でき、それは王の直属で、ときには王自身がひび割れの形を占断…
もともとは供犠から始まったものと考えられています。つまり、神に対して犠牲の獣を捧げていたのが(火にかけて他界へ送るのはよくある方式)、残った骨の色やヒビなどで神がそれを受け容れたか否かを判断するようになり、やがてヒビの形で未来(神意)を占…
科学の発達した現代を生きる私たちにも、まだまだ分からないこと、判明していないこと、あるいはテクノロジーでは解決できないこともたくさんあります。現在でも占いがなくならず、毎日たくさんのメディアで扱われ、しかもそれを確認する人々が大勢いるのは…