2015-07-17から1日間の記事一覧

◎12で、なぜ晋侯の病が不節制が原因だと結論づけられたのでしょうか。 / ◎14で、晋侯が女性を近づけるうえで節度を保てと諫言されているのは、親族の女性であっても近づけてはいけないということでしょうか。

◎12では、まず晋侯の不行状に関して種々の噂があり、家臣たちがそれを憂える情況があったということです。史官や卜官の発言が機能していないという点は、彼ら官職の質が低下したという問題がもちろんあるのですが、君主への配慮から諫言ができなかったのだと…

◎10で、胞衣を埋める場所が「竹の多い地」と出てきたが、古代中国では、医療と水、もしくは治水と竹は何か関係があったのでしょうか。

ぼくもこの点は、少し疑問に思っていました。しっかり根拠のある回答ではないのですが、竹の象徴性というと、やはり長大に伸びてゆくこと、常に青々としていることから、長寿や永遠性ということになります。竹の多い地に胞衣を埋めるというのは、子供の長寿…

◎5の『産経』の逸文で、どうして女性が右で男性が左と決められたのか、疑問に思いました。

陰陽五行説に基づくものです。男性/女性は、それぞれ陽/陰に属しますが、左/右もそれぞれ陽/陰に属するのです。ゆえに、同一カテゴリーの男性=左、女性=右が結びつくのです。

西洋においては産業革命、学校の出現により、小さな大人と考えられていた「子ども」が「子ども」として捉えられるようになりましたが、古代中国において「子ども」の概念はあったのでしょうか。

古いところでいうと、前漢・馬王堆漢墓出土の『五十二病方』という医書に、嬰児の病に対する処方が載っています。病には、子供特有のもの、女性特有のものなどがありますので、その身体の構造や特徴に即して、独自のカテゴリーとして成り立ちやすかったもの…

中国では世界や人体の概念が共通していた、とのことですが、広い国土でどのようにして概念を共有していたのでしょうか。

確かに。なかなか難しい問題ですが、例えば気のエネルギーが循環することで世界の成り立ち、動きを説明してゆく考え方は、中国の世界観のなかではかなりプリミティヴなものに属するということです。儒教や道教、その他諸子百家の思想なども、このようなもの…

東日本大震災における東北への批判について、歴史学的にどのように反論したのですか?

震災直後の東北に対しては、1)繰り返し津波の来る水辺などに住むのが悪い、2)祖先からの災害の教訓を受け継いでいないので自業自得だ、という批判がありました。まず1については、縄文時代の最新研究を通じて、列島における定住生活が水辺と山麓の往復…

実践的過去とは、徳川家康やビスマルクのように、「賢者は過去に学ぶ」ということと同義とみなしてよいですか。

いわゆる「偉人」や「英雄」における歴史の継承を語ろうとすると、その言説は容易に権力の側へ引き寄せられてしまいます。むしろ一般の人々が、日々を生きるためにどのような「歴史」の援用を行ってきたのかが、実践的過去の射程にある問題です。例えば、賢…

『医心方』に書かれている処方を通じて、無名の人物や他に名前の残っていない人物を知ることができる、とありましたが、それを知ることでどのようなことが分かるのですか。

まず、他のどこにも残っていない人の存在、その経験が記されているということは、それだけで過去がより豊かになるわけですから、史料的価値が極めて高いということになります。医書に処方が記されているだけで、Aという人物がNという病に苦しみ、医師に相…

日本の医療の歴史において、ハンセン病などに関しては、治すのではなく隔離し、根絶させようとする医療法もありました。この場合は、医療と歴史との関わりはどうなのでしょうか?

ハンセン氏病への対処の仕方も、過去からの知識と技術の積み重ねになります。しかしかかる例は、その「積み重ね」にも限界や誤りがあったことを明確に伝えてくれます。その「積み重ね」がどこで誤り、なぜ歪んだ方向へ向かってしまったのか。医書やその他の…

歴史は過去と未来を繋げるものであるという考え方に、大いに共感しました。具体例として医書が挙げられていましたが、他にも当てはまる例はあるでしょうか?

授業でも少し触れましたが、占いの本、卜書などが面白い例だと思います。例えば、10世紀中国の各種資料を内包する敦煌文書には、占い関係の書物も多数残っています。そのなかには、現在のいわゆる人相見、相書と呼ばれる書物もあり、顔の形状や各部の特徴、…

かつて史学とひとつだったという医学は呪術的な要素も強いですが、現代に専門化が進むことで分化をしたものの、古代ではひとつだったという学問は他にもあるのでしょうか。

『周易』上経/賁卦/彖伝には、「天文を観ては以て時変を察し、人文を観ては以て天下を化成す」とあります。聖人は、天文をみて時節の変化を読み取り、人文をみて人民の情況を察しこれを教化成育する。つまり、世界の情勢やありかたをしっかり把握してゆく…