2015-10-16から1日間の記事一覧

前回の話になってしまいますが、「無痛文明」について、来日した中国人が日本は「干浄」だから好きというのは、公共マナーのよさだけではなく、無痛文明の快適さもあるのでしょうね。

そうでしょうね。中国のハイ・ソサエティーの人々が日本の無痛文明を志向するというのは、予想される事態ではあるでしょうが、恐ろしいことです。広大で環境も異なる中国が日本のようになることはありえず、社会や文化の格差、それに規定された認識・心性に…

六斎日の話を聞いて、何となく道教の腹の虫が泰山府君だか天帝だかに告げ口をするといけないので、寝ずの番をするという話を思い出しました。

三尸説ですね。授業でお話しした六斎日は、まさにこの三尸説と密接に絡みあいながら、中国の六朝時代に整備されてくるのです。いわば、道教と仏教との交渉の結果、仏教の東アジア化した姿ともいえます。日本ではこれが、庚申信仰という民俗となって、近代ま…

仏教では不殺生戒としてあらゆる生命の殺生を禁じているとのことだったが、捨身行によって自らを殺すことはこれに反しないのだろうか。

生命の循環という発想が基本にありますので、キリスト教などの自殺とは少し意味が違ってきます。菩薩行としての捨身は、生きとし生ける者のために行う救済の行動ですので、自殺とはみなされません。例えば講義でも紹介した、飢えた虎に自分の身体を与えると…

今日は仏教の話を伺いましたが、『法華経』のほか、宗派によってどんな思想の相違があるのでしょうか。また、日本へ入ってきたときに、植物が有情になるのはどうしてですか。

仏教は、今日お話ししたところを根源的な枠組みとして、宗派ごとにかなり細かな相違があります。最も異質なのは浄土教系統、かもしれません。日本でいちばん大きな教団は、この系統の浄土真宗ですが、衆生はすべて阿弥陀如来によって救済されており、現生の…

環境倫理の考えの主体は、主に大人であると思います。子供は大人の考え方に一方的に巻き込まれるだけだと思うのですが、例えば仏教の戒律などの遵守について、子供がそれを受けることはどう考えられているのでしょうか。

仏教では、子供/大人の区別を大きくは行いません。よって、子供も大人と同じように扱われます。現在、一般社会に至るまで不殺生戒を遵守しようとしているのは、一時期「国民総幸福量」で話題になったブータンですが、極めて道徳的・倫理的な子供が育ってい…