2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

史跡・博物館見学は、いつ観に行ったものまで対象になりますか?

秋学期開始以降ですね。いま方法を考えているところですが、レポートとともに、実際に行ったという証拠を提出して貰おうと思っています。チケットの半券、もしくは証拠写真など。当日書いて貰うペーパーにホチキス止めするなどして、提出してもらえればいい…

帰国子女で、日本史を学んだことがありません。大丈夫でしょうか?

授業でも繰り返し述べていますが、既成の日本史の知識を問うような授業ではありません。しかし、その知識が前提にないと理解の難しい話はあるかもしれませんので、適宜予習や復習をしてみてください。

領土問題について、歴史学が寄与しうることとは何でしょうか?

各国が政治的主張を繰り返し、歴史学の成果を利用しようとするなかで、その動きに左右されず、事実を積み上げてゆくことこそ大切です。さらに学問的な言い方をすれば、領土や国境など自明ではありえず、「固有の領土」など世界のどこにも存在しないのです。…

慰安婦問題についてですが、あった/ないでいえばあったと思うのですが、韓国側が主張する被害者の数も多すぎると思います。外交のかけひきの道具になることもあると思うのですが、歴史学者はどのような態度をとればいいとお考えですか?

もちろん、細かな点については、実際の被害者の証言、文書記録などの証拠を積み上げ、政治的な介入を排して考えてゆくこと、議論してゆくことが重要です。しかし注意を促しておきたいのは、よく慰安婦問題を外交問題と理解するひとが多いのですが、これは人…

裁判では口頭証拠より契約書が優先されますが、歴史学ではどのような扱いになっていますか?

歴史学はもともと文書を扱う学問でしたので、文書主義、いうなれば口頭証拠より契約書を重視する方向が強かったですね。しかし、史料批判という「書かれたもの」を検証してゆく方法が発展していますので、無条件に文書を重視するわけでもありません。人間は…

学界で「通説」が決定されるとき、その根拠は何なのでしょうか。やはり「客観性」の度合いなのですか?

その学説の論理的整合性、蓋然性でしょうか。それらは、意見交換のなかで高められてゆきます。学界自体には、派閥その他、政治的思惑が絡む場合もありますが、通説は多くの人々の長い時間をかけた議論によって鍛えられてゆきますので、それなりの信頼を置く…

日本史の考え方が一国史になりがちなのは、地理的に島国であったり、鎖国を経験したりしたからでしょうか。

確かにそのことは否定できません。実は鎖国にしても、海外へのチャンネルはしっかり開かれていたので、完全に世界から遮断されていたわけではありませんでした。島国という環境も、海を交通路と考えれば、世界に開かれている環境といえるのです。しかし、例…

負の歴史の封じ込めや、この愛国ブーム、日本誉めの要因は何なのでしょうか?

まず第一に、恒常的不況に突入したことによって、経済的な意味での生活不安が増大し、列島社会に精神的余裕がなくなってきたことが挙げられるでしょう。ヘイトスピーチや、最近話題になったシリア難民への非難なども、多くは「自分が得るべき保障が横取りさ…

各回の配付資料のページです。記載のURLからダウンロード可能ですが、それぞれ期限がありますので注意してください。

・第1〜4回(09/30〜10/21) https://goo.gl/84cS0y(10/23まで。ガイダンスから最新のものまで、選択/一括してダウンロードできます)※ もし開封できない場合は、北條まで直接連絡して下さい。メール添付でお送りします(katsutaka_hojo(at)js7.so-net.n…

エイリアンの表象で、人間に近い形状になったのは、交渉が可能になったからだと考えてよいのでしょうか。それとも、人が一番恐ろしいということですか。

面白いですねえ。ウェルズの『宇宙戦争』の時代には、人間にとっての極北の存在、コミュニケーション不可能なものとして軟体動物の表象が用いられているのだと思われますが、ギーガーのエイリアンの場合は少々複雑ですね。彼はシュールレアリズムの芸術家で…

神仏習合に関する本で、人格を持つ神は仏教の流入以降に語られたといった文章をみかけましたが、もしそうであれば、人格神出現以前の倭人の自然の理解が気になります。

仏教を高尚な宗教、神祇信仰を未開な宗教とみて、その接触から後者の変質・発展を語ろうとする視点ですね。ときどきみかけるものですが、誤りです。なぜならば、いわゆる仏教が伝来する以前の古墳時代には、すでに中国的な神仙思想が政治的交通のなかで導入…

自然のもの(草木動物など)を神として崇めるのは非西洋的だと感じたが、西洋でもこのような習慣はあるのだろうか。

古代にはもちろんありましたし、現在でもキリスト教と融合しながら、アニミズム的なものはしっかり残っています。例えば、南フランスのルルドをはじめとして、近代のヨーロッパでは、各地で聖母が出現しその場所が聖地化されるという事件が起きています。そ…