2016-04-11から1日間の記事一覧
心性史はフランス・アナール学派の活動によって一般化しましたので、やはり分かりやすいものでいうと、アナールの翻訳書、あるいは概説書の類、すなわち西洋史のものになるでしょうね。二宮宏之氏や福井憲彦氏の入門書や、「心性の歴史家」の異名を取るフィ…
オセアニア地域は分かりませんが、東南アジアの情報は入っていたものと思われます。長崎にやって来る南蛮船、清国商船を通じて、海外の情報はさまざまにもたらされていました。授業でお話ししたヤオ族の伝承は、清国商船を介してもたらされたのかもしれない…
志筑の『鎖国論』は、ケンペル『日本誌』のオランダ語版"De Beschrijving van Japan"の付論第6章、「今日のように日本国を閉鎖してその国民が国内においても国外においても外国と通商を営むことを許さないことが同国にとって利益ありや否やについての研究」…
ロシアには、幾つかの事例がありますね。ロシア科学アカデミー・ピョートル大帝記念人類民族学博物館には、ロシア人による、千島・樺太・北海道アイヌの調査資料が多く所蔵されています。数年前、「ロシアが見たアイヌ文化」として、日本列島の各博物館で特…
『皇清職貢図』に描かれていたのは樺太アイヌであり、北海道のアイヌ集団とは、同質性とともに異質性も存在します。単純に『夷酋列像』のそれと比較することはできないでしょう。なお時間の変化の仕方は、どうでしょうか。一般に少数民族の世界は、王朝国家…
先にお話ししたとおり、『夷酋列像』に描かれたのは、松前藩が倒した相手ではなく、逆に協力者です。顕彰のために描いた肖像画なのです。その意味で、彼らの野蛮さを強調する意図は、蠣崎波響にはなかったと思われます。しかし問題は、中華王朝で始まった華…
松前藩によるアイヌの統括は、我々が連想するような隷属的な支配には至っていなかったようです。アイヌの集団は、決して一枚岩にまとまっていたわけではなく、北方地域との交流も含めて、その勢力や政治的・社会的な成熟度など、地域によって大きな相違があ…
人間に関わるものだけが史実ではありませんので、無限にあるといった方がいいでしょうね。歴史学者の問題関心によって史実が姿を現すと考えれば、無限に広がる過去の多様性のなかから、歴史学者の目によって、史実が構築されてゆくといえるでしょう。ちょっ…