2016-06-10から1日間の記事一覧
半跏思惟のことでしょうか。あれは、世界の救済の方法を思考している姿だと考えられています。近年では、半跏思惟というポーズ自体はガンダーラ彫刻ではマイナスの意味を持ち、調伏される悪魔や罪を犯し苦悩する僧侶を表現している、との見解もあります。し…
末法の開始期、すなわち仏入滅後からの時間をどのように考えるかに、経論によって複数の説があるのです。代表的なのは三時説と五箇説で、前者は正法・像法・末法、後者は解脱堅固・禅定堅固・読誦多聞堅固・造塔堅固・闘諍堅固となり、その年数の数え方には…
授業でもお話ししましたが、サメなのか(出雲地域では古来サメのことをワニと呼んできた)、伝説上の生きものなのか、あるいは別の生きものなのか。シロウサギの話などは南方系なので、ワニの話がそのまま物語として伝わってきたのだ、という見解もあります…
出雲大社は、国作りを行った出雲の主神であるオホクニヌシが、王権側に国譲りの代償として祭祀を求め、創設された神社ということになっています。古代に出雲国造を奉祀者とし、そのまま現在まで繋がっています。各地に古代から近世に至る神話と、その再解釈…
男ですね。個人的見解ですが、ぼくは八束水臣津野命は、ヤマタノヲロチと同じものだと考えています。両者とも、山地を抜けて平地に肥沃な土砂をもたらす水流を神格化したものです。前者は『出雲国風土記』、後者は『古事記』にしか出てきません。すなわち前…
もちろん、それは考えられますね。しかし、国引きの対象となる地域と、島根の交易圏とは、微妙にズレがあります。隠岐や能登とは当然関係がありますが、同レベルで連絡のある九州が出てこない。また、朝鮮半島で島根半島と結びつくのは、東方の新羅ではなく…
例えば、中国文化に対してはその権威が圧倒的なので、少なくとも中世までは同レベルで張り合う、といったことはなかったでしょう。中国江南の天地開闢神話を採り入れ、列島の始まりを語った『日本書紀』が良い例です。その後の中世神話も、中国神話、仏教、…
如来と同レベルに神格化した菩薩像が、その本地仏=化仏を頭頂に載せるという儀軌が、仏教では一般的にあるのです。観音の変化身、すなわち十一面観音、千手観音などが、頭に阿弥陀仏を載せているのが典型でしょう。宇賀弁財天が頭頂部に宇賀神を戴くのも、…
講義での推論は、浄土宗が法然の位置を卓越化するために、当時はまだ人々の記憶にあった「難解な先進的仏教」の体現者であった覚阿を利用した、ということです。またその背景に、天台青蓮院流と九条家のネットワークが関係していたのではないか、と。また教…
授業内でも少し話をしましたが、法系を同じくするグループは、法名の前の一字を共有していることがあります。中国ではもともと、安世高が安息国、竺仏図澄が天竺といったふうに、その1字が出身地域を指していました。しかし前秦・東晋の道安以降、仏弟子と…
ああ、あまり雄雌の区別はみたことがありません。ただし、否定的に扱われる動物は雌が多く、経緯を払われる動物には雄が多い、とは一般的にいえそうです。日本現在最古の仏教説話集『日本霊異記』に、血沼県主倭麻呂という人物が、烏の邪淫をみて発心し、出…
2年生もいますので、その点は構いません。しかし西洋史や東洋史のひとはとくに、自分が読んでいるものが日本の文脈にすりあわされた結果なのだということ、翻訳とは新しい意味を創出する行為なのだということに、自覚的になってください。
少し問題があります。講義のテーマは、いうなれば外来宗教と在来の環境文化との軋轢と融和です。キリスト教とイスラム教の葛藤を扱う場合には、どちらかが在来宗教の場合ということに限定させてください。地域と外来の構図は、見失わないようにしてください。