2017-06-30から1日間の記事一覧

小レポートは、やはりマイノリティに関係する博物館でないといけないでしょうか?

そうですねえ、やはりもう最初のガイダンスの際に説明して、それでレポートを提出している人もいますので、今さら変更はできません。しかし、すでに説明したように、どんな史跡や博物館・美術館展示でも、マイノリティーを重視する視線に立って分析すること…

やっぱり遊女が罪の意識を持っていたという事実自体が、変だなと思いました。

ぼくも変だな、と思いますね。彼女たち自信が自発的にそう考えたというより、社会や宗教の仕組みが、彼女たちにそう「考えさせた」というほうが、真実に近いでしょう。遊女たちに自分を罪業深い存在だと認識させるのは、遊廓の経営者らに有利に働くイデオロ…

吉原には花魁のような上流の遊女から最下層のものまでいたと思うのですが、その身分の差が、信仰の深さや自身の立場の認識の差になって表れることはあったのでしょうか。

蛇を食べるという行為について、食べたものを自分の身体に取り込むという発想は前近代にあると思うのですが、蛇が捕食者の邪悪さを助長するといった考え方はなかったのでしょうか? / 現在の猪について考えると、猪はまっすぐしか走れず、蛇を捕まえて食べることができたのか疑問に思います。

確かに、捕食者の力が脆弱だと、かえって食べたものの毒に当てられる、という認識はあったでしょう。今回紹介したガルーダやイノシシの場合は、いずれも天敵的な位置づけをされている動物であったり、神格化されているものなので、立場が逆転するという危惧…

浄閑寺の豕塚ですが、吉原大門で飼われていた白い猪について、白は神聖であるとの考え方はどこから来たのでしょうか。

白色については、さまざまな象徴性があります。まず祥瑞に定められているような白い動物は、概ねアルビノで自然界に存在することが珍しいことから、希少価値で尊ばれたものでしょう。白色が清潔な色というのは普遍的な考え方でしょうが、儒教ではそれが転じ…

近世に猪を飼う習慣は珍しいものだったと思うのですが、どこで捕まえたものだったのでしょうか。

近世のことですから、江戸近郊でも猪を捕ることはできたと思うのですが、白猪、恐らくはアルビノの猪ですので、大変珍しいものであった可能性があります。白猪は祥瑞ですので、吉原の常連である武家や商家から贈られたものかもしれません。

平安時代の白拍子は巫女としての役割も持ち、一種の信仰対象となっていたと聞いたことがあります。そこからどのようにして、近世的な遊女が成立するのでしょうか。 / 身体を売ることでお金を得るというメカニズムは、なぜ江戸時代に入って顕著になったのでしょうか。それまで人身売買はされていなかったのでしょうか。

日本では、律令国家の段階から人身売買が是認されていました。中世の一時期には、公事負担の責任者である百姓の家主が家人を売買することを、幕府が公式に認めていました。しかし、娘が売られてもそれは雑役労働者としてで、いわゆる傾城になるのは、身寄り…

中世〈遊女〉においては、芸能とセットで論じられることが多い印象を受けるが、近世遊女というのは、芸能面を論じられることはあまりないのだろうか。遊女と芸者はどこかで分岐したのか?

吉原にも芸者はいましたが、彼女たちは身体を売買することはなく、歌舞音曲において遊女の接待をサポートするのが役割でした。遊廓という経営体において、そこで働く女性たちにも、社会的分業が進んでいると考えていいでしょう。遊女と芸者は長い間混同され…

非人小屋というと、江戸期の東北飢饉における非人の実働部隊化と非人化した民衆の収容を思い出しますが、江戸のそれとも関係がありそうに感じます。

西洋的性道徳、近代的な家族のあり方は、どのような手法で民間に広められていったのでしょうか。

ジェンダーの話になると、男性よりも女性が取り上げられるのはどうしてなのでしょうか。

それは、まだまだ日本社会が男性優位社会であるからですね。その是正のためには、女性の権利、社会における平等の扱いを求めるような注意喚起を、続けてゆかねばならない。そのために、「女性○○」といったテーマ、スローガンがどうしても増えてしまうことに…