2017-10-13から1日間の記事一覧

松島周辺において、縄文の遺跡が東日本大震災の津波の影響を受けなかったことについて、縄文時代の海岸線は現在より内陸部にあって、それが寒冷化とともに海退したということではないのでしょうか?

一般的にはそのとおりです。縄文時代は前期を通じて比較的温暖で、後期からの寒冷化に伴い次第に海退が始まります。しかし松島周辺は、海退とともに地盤沈下が生じ、結果として現在の海岸線は、縄文時代における陸地と海岸との距離をほぼ保っているのです。…

国家という枠組みを超えて移動しようとする移民などは、環境文化のなかではどのように捉えられるのだろうか?

授業でも触れたジェームズ・スコットが言及している、ゾミアの人々などはまさに「国家の枠組みを超えて移動」しています。ぼくも論文を書いたことがあるのですが、例えば後漢の時代から中華王朝に言及されるヤオ族などは、もともと西南地域の四川省や貴州省…

集団が国家となってゆく流れは、移住する民族でもあるのではないでしょうか。そうした場合、国家化に抵抗する手段としての移動は、どのように位置づけられるのでしょうか?

ウィグル、モンゴルなど遊牧民が国家化する場合(遊牧国家)も、やはり移動から定住へというベクトルが働きます。中心となる支配者があり、その支配が及ぶ領域が確定しており、その支配を領域の人民に及ぼす統治機構を持つのが国家ですが、その規模が大きく…

授業と直接関係ないのですが、なぜ先生はヴェジタリアンになったのですか? / 肉食をしないとの判断は、恵まれた社会において初めて成立するのではないでしょうか。人は死体のうえで死体を食べて暮らして、最終的に死体になります。動物として、それが全うではないかと思っています。

授業でもお話ししましたが、ぼくは自分をヴェジタリアンであるとは考えていませんし、その価値観を誰かに強制しようとも思っていません。そもそもの契機は、人類学者レヴィ=ストロースが狂牛病について論評した文章のなかに、「狂牛病は、人間が草食哺乳類…