2017-11-17から1日間の記事一覧

「烏」字と「鳥」字との関連性が気になります。

現在はよく似た形に整理されていますが、金文段階ではやや相違があります。「鳥」は本来尾長の鶏を表しており、長い尾が付きますが、「烏」にはそれがない。鶏冠もありません。また、烏字には縄に翼をかけた別の形も存在したようで、農地を烏に荒らされない…

『開元占経』などの事例は、鳥の生態によって整理することができるように思うが、実際のところはどうなっているのだろうか。

それが可能であれば面白いのですが、『開元占経』は王権・国家が使用するための卜占であり、その大部分を占める京房などの占文は、多く経典研究のなかから導き出されてきた議論です。『以烏鴉叫声占卜』のような日常生活に密着した経典を精査し、うち経典か…

『開元占経』には、烏や鶏といった実在する鳥だけではなく、想像上の烏を例とした占いについても書かれているとありました。実在しない鳥に関する占いを記すことに、どのような意味があったのでしょうか。 / 鶏が獣を産んだなど、およそ現実には起こりえない怪異について、占文として記されているのはなぜですか?

現在でも、科学的認識によれば起こるはずのない怪現象がまことしやかに囁かれ、都市伝説として社会に流通しています。私たちはそれを「ありえない」と笑いますが、100%否定することができず、どこかで「あるかもしれない」と信じてしまっている。それゆえに…

骨卜を扱う経典の読み方の相違についてよく分からなかったのですが、経典よりも先達からの教えが重視されているということではなく、そもそも文章の解釈がまったく異なっていたということでしょうか?

そうです。トンパ文字は解釈の幅が広いため、結局内容をある程度知っていなければ読むことができない。よって、師匠に与えられた知識の意義が大きいということになります。ぼくらは、東巴文化研究所の比較検討の成果として作られた辞書や、訳注全集の漢訳を…

[東京大学:宗教学宗教史学特殊講義(17秋)トンパ経典をみると、何か占いをすべき対象があってからこの経典が開かれるというより、人々が頭のなかに事前にその内容を入れておき、烏の行動をそれに基づいて区別しながら対処してゆくもののように思われるのですが、この経典はどのように扱われるものなのでしょうか。

授業でも扱いましたが、恐らく唐代の百怪図と同じような使用のされ方でしょう。すなわち、何か怪異が生じたときに、トンパを通じて経典が検索され、その意味が告知されるということです。しかし、『以烏鴉叫声占卜』のなかには、より日常的な知識も多く詰ま…

トンパ経典は13世紀まで遡れるとのお話がありましたが、経典そのものが書かれた年代も同様でしょうか。

神話などについては、文字成立以前の古伝承も存在したと考えられますが、その実態についてはよく分かりません。

占いが外れたとき、占いを行う人々はどうするのか、あるいはどうなるのだろうか。

古代中国の文献以来、卜占に携わる官職の者が、その占断の結果について主君から叱責される、あるいは責任を問われそうになる事例は幾つか見受けられます。しかしまず考えておかねばならないのは、凶兆を指摘する占断には、必ず何らかの修祓、凶兆を除去する…

万世一系の日本と比較して中国は王朝交替があり、王族はいつも自身の保身のため、占いを重要視していたということでしょうか。

確かに、権力の発生するところには、必ず卜占も伴いますね。中国と日本では、王朝や領域、各種民族集団の規模も違いますので、単純に比較はできません。何より、日本で使われた卜占のルーツはほぼ中国にありますので、同一文化圏のなかの中央と周縁部と理解…