2017-12-15から1日間の記事一覧

世界全体のイメージとして樹木が設定されるのは面白い。ドゥルーズが、「ツリーかリゾームか」といったことを思い出したが、これはかなりラディカルな批判ではないか?

系統樹の相対化ですね。世界の中心を巨樹とするイメージはまさに系統樹と重なるものですが、しかし重要なのは枝葉よりも幹です。竹の場合は根が大切となるので、樹木の織りなす文化を細かくみてゆけば、支配的言説への抵抗のよすがとなるかもしれません。

月と兎も再生象徴として結びつくものと思いますが、日本の民話・伝承などでは、狐や狸が異類婚姻で多く語られている気がするものの、兎は少ないように思います。なぜ少ないのでしょうか?

月と兎の関係は、話しませんでしたっけ? いまちょうど論文を書いているのですが、質問のとおり、再生象徴として同じカテゴリーに入ります。兎は生殖能力が高いので、イースターのシンボルなどになる一方、性欲の象徴としても扱われてしまいます。列島社会の…

聖なる樹木・柱には龍蛇が纏わり付くとのことですが、龍と蛇には相違があるのでしょうか?

龍は中国における伝説の動物なのですが、よくわれわれが思い浮かべるような、鹿の角・蛇の身体・虎の目や爪などを持つ怪獣を、普遍的に意味するわけではありません。蛇をモチーフにした神獣はユーラシア全土にあり、漢字文化圏におけるその一般名詞と考えれ…

果実が再生の象徴だとすれば分かりやすいが、植物の部位ごとに伝承を分類することはできないだろうか?またその意味があるだろうか?

それは面白いだろうと思います。ぼくは以前、樹木が伐られることに何らかの抵抗を示す伝承を、列島のなかだけで450個ほど確認しました。ほとんどが、幹に切りつけると①血が出る、②いくら伐っても塞がってしまう、③異類が出現する、④伐った者が病気になる・死…

日本古来の立柱的表象として、まっさきに鳥居を連想した。あれは仏教の影響、神仏習合なのだろうか? / 鳥居も一種のトーテムポールなのでしょうか?鳥は再生のシンボルなのですか?

鳥居に似たものは、確かに、紀元前のインドのストゥーパ遺跡にみられますね。しかし実際のところ、鳥居の成り立ちについては定説がないのです。弥生時代の環濠集落には、鳥型木製品を配した門のようなものがみつかっているので、そうした在来の展開を遂げた…

サバイ草の起源などにみるように、民話や伝承には兄弟が登場する話が多いように思います。兄弟も何らかの象徴なのでしょうか?

民話や伝承で、兄弟や夫婦、両親を登場人物とすることが多いのは、ストーリーを物語るうえで邪魔になる説明が不要だからでしょう。主人公に対立する登場人物を設定する場合、もともと無関係なひとであれば、主人公との因縁など、彼に対する説明が必要になる…

動物から人間が生まれることと比較して、植物からの場合は、生まれる人間が女性の場合が多い気がする。それは植物の生命力や再生力が、女性のそれと重ね合わせられているのだろうか。

授業で中国の竹王伝説を紹介したように、必ずしも女性が多いわけではありません。列島文化では、桃太郎の例もありますしね。一時期の日本では、柳田国男や折口信夫の論を受けて、シャーマン=女性といったイメージが強くありました。しかし、アジアにおける…

トーテミズム研究では、複数の部族が併存する社会において、それぞれの部族アイデンティティを据える役割をトーテムが担うといわれるが、同一地域内に複数のトーテムがあるのだろうか。

中国西南少数民族には虎トーテム、モンゴルには狼トーテム、北方狩猟民には熊トーテムが散在しています。列島社会には、授業でもお話ししたとおりトーテムの痕跡が少ないのですが、よく指摘されるのは、ヤタガラスを祖神とするカモ氏、蛇神オホモノヌシを祀…

いわゆるトーテミズムでは、トーテム対象の殺害・捕食が重要な祭祀となることが多いが、これら植物トーテムでも、葦や竹の収穫・食が、重要視されるのだろうか。

植物トーテムの場合は、食べることはもちろんありますが、それ以外に、植物を素材に作った衣服を着ること、家に住むことに意味があるかと思います。葦の場合には、家の屋根を葺いたり、部材を結んだり、骨組みを作ったり、垣根を作ったり、土と混ぜて壁に塗…