2018-10-17から1日間の記事一覧

神道と仏教、天皇による国体の確立について、詳しく書かれた書籍はあるでしょうか。

以下に、コンパクトに読めるものを掲げておきましょう。・安丸良夫『神々の明治維新』岩波新書、1979年・原武史『〈出雲〉という思想』講談社学術文庫、2010年・島薗進『国家神道と日本人』岩波新書、2010年・伊藤聡『神道とは何か:神と仏の日本史』中公新…

講義とは直接関係ありませんが、『古事記』や『日本書紀』に人類創造の話がないことは、前から疑問に思っていました。

実は、イザナキ・イザナミに類する始原の兄妹・夫婦神が、現在の民族の祖先を産むというタイプの民族起源神話は、東アジアの少数民族の間に広く残っています。そこではヒルコを想像させる肉塊から、人間と羊や豚が生まれたり、あるいは隣接する民族が複数生…

中世以降の日本では、天皇制を維持したまま実質的な国家運営権力を争う形が多いと思いますが、なぜ天皇制そのものをなくして新たな王となろうとする人物がいなかったのでしょうか。

授業でも少しお話ししましたが、古代から現代に至る日本列島の歴史のなかで、近現代が最も天皇制が安定している時代です。それ以前は、いつ天皇制が消滅してもおかしくない情況にありました。近世の江戸幕府などは、よく「宗教的権威は天皇、世俗的権力は将…

近代に神道が激変した際、人々は、それを容易に受け容れることができたのでしょうか? / 天皇支配の基盤である神道に教派による争いがあったにもかかわらず、宗教紛争のような戦いが起こらなかったのが不思議だと感じました。

一番下の参考文献をみていただければ分かりますが、確かに士族反乱のような大規模な暴動はなかったものの、いつそれが起きてもおかしくない状態は持続していました。また見方を変えれば、例えば島崎藤村の『夜明け前』の主人公など、平田国学に傾倒して明治…

復古神道の三派が勃興する以前は、神道の最高神は定まっていたのでしょうか?

古代の、国家主導の神祇制度においては、最高の位置に付いていたのは皇祖神のアマテラスでした。しかし、『古事記』や『日本書紀』のなかではそれが必ずしも一貫しておらず、また天皇中心の構成にもなっていません。どうやらアマテラス以前は、造化三神のう…

マジョリティの歴史が優先されてしまうと、マイノリティの歴史はないものにされてしまうというお話を、序盤で聞きました。それを分けて考えることはできないのでしょうか? マイノリティの歴史は積極的に排除されてしまうものなのでしょうか?

のちの中世史のトピックでは、アイヌを扱うつもりでいます。その際に具体的に示してゆきますが、皆さんが学んできた高校までの日本史では、アイヌをどのように学んでいたでしょうか。恐らくは中世〜近世で琉球とともに、列島の北端と南端(西端)の歴史とい…

学問としての歴史と教育としての歴史が異なるのは、内容が異なるということですが、方法や解釈が異なるということですか?

この授業を半年受けて、そのことに自分なりの結論を出してください。学期末の小テストの問題に関わりますので、ここでは保留にしておきます。

現在の教育のあり方は、戦前の教育のあり方に近づいているとの指摘がありましたが、現在だからこそ同じ過ちを犯さないように、何ができますか?

「戦前回帰」といわれる問題ですが、ぼく自身は、単純にこの一言で片付けられる問題ではないと考えています。授業でも少しお話ししましたが、当時と現在とでは、日本を取り巻く世界情勢も、国内の事情も異なります。しかし、教育において国権が強化されてい…