2018-11-07から1日間の記事一覧

K氏の見解の引用で、仏教が入ってすぐに神仏習合の思想ができたというところでは、その当時は仏教が主なものと思っていたので、かなり違和感がありました。

これは高校までの日本史で習うと思うのですが、神仏習合が始まった7〜8世紀は、必ずしも仏教が主流ではありません。古墳時代から継続してきた神祇信仰があり、古代国家の政策や仏教の影響を受けて勢力を拡大しています。例えば、神祭りの場は本来臨時に設…

高校の歴史では、仏教が多く扱われて神道はあまり取り上げられないし、儒教はそれこそ朱子学くらいしか出てこない気がする。どうしてこのような情況になったのだろうか。

考古の時代のアニミズムから始まり、律令国家の祭祀のあり方、中世の唯一神道、近世の国学・復古神道、近代の教派神道などは教科書でも扱われていますが、恐らくほとんど解説されていないので、印象が希薄なのでしょうね。1つめの単元でも解説したように、…

日本史はすべてを通して、一国史ではなく東アジア的に考えるべきなのかと感じた。逆に日本固有のものとは?

まず、「独自」や「固有」といった言葉が、自分のアイデンティファイする集団を前提にした価値付けである、という点に注意が必要です。それらをまず括弧に入れて考えれば、例えば神仏習合なども東アジア的宗教現象として理解するのが適切で、中国と日本列島…

日本は無宗教といわれているが、神仏習合は特定の神を信仰しているのではないかと疑問に思った。

えっ、無宗教ではありませんよ。1つめの単元でも詳しく言及したように、日本を無宗教だと断定するのは、西欧的宗教観というスケールに当てはめた批判に過ぎません。列島文化には極めて多様な宗教が息づき、時代・社会の展開にも大きな影響力を持ってきまし…

言語論的転回のところで、同じ空間に生きていても、個々人や時間によってみえる世界は異なり、唯一普遍の世界は存在しないというお話をされていましたが、言葉には人の価値観を共有する力もあり、ものの見方には何かしら共通のものもあると思います。 / 言葉が見方を再構成するから、個人や時代によって叙述の仕方が異なるというのは分かるのですが、そこから普遍的な世界がないとはいえないと思いました。すべての叙述に共通点があれば、普遍的世界もあるはずではないでしょうか。

主観を排した普遍的世界が存在しないというのは、量子力学的実験によってもある程度明らかにされています。しかし、われわれが作り出している環境の世界の外部については、確かにある程度想定することが可能です。ただし、授業でもお話ししたように、それを…