2018-11-28から1日間の記事一覧

もしアイヌが松前藩に服従していなかったら、現代まで独立国家として残っていることができましたか?

アイヌが国家化しえたのかということは、現代学界において盛んに議論されていることのひとつです。近世に入る段階では特徴的な首長制社会に到達していたわけですが、この情況を「すぐにでも国家になりえた」と表現する研究者もいるようです。しかし、クナシ…

「文字を失う」伝承のお話がありましたが、そんなことは本当にありうるのでしょうか。アジア圏にそうした伝説が多く残っているということは、何か理由があるのでしょうか?

世界には、「かつては盛んに使用されていたけれども失われてしまった」文字は幾つも存在しますので、民族が「文字を失う」ことはありえないことではありません。ただし、アジアなどで広汎にみられる文字喪失伝承は、例えば東南アジア地域の歴史人類学的研究…

アイヌを示す言葉が史料のなかで幾つか出てきているのですが、どのような基準で分けられているのでしょうか?

授業のなかでも言及しましたが、例えば「骨嵬」は、アムール川流域の諸民族が用いるツングース諸語、ニヴフ語などでアイヌを意味する"kuyi""kui"に、漢字の音を当てたものと想定されています。これは元朝の表記ですが、清朝には「庫野」という表記もみられる…

中近世のアイヌ文化は、現代でもアイヌたちによって行われているのですか?

社会や経済のあり方が変われば、伝統文化も変質しますし、また維持できないものも出てきます。現在、日本列島全体で伝統的な年中行事が消失しつつありますが、とくにアイヌの場合は、近代における同化政策の影響で、破壊されてしまったものも多くあります。…

現代ではアイヌ文化は海外からの関心が強くなっていると聞いたことがあります。何がきっかけなのでしょうか?

やはり、エコロジー・ブームの関係が大きいですね。アイヌだけではなく、北方狩猟民などの少数民族は、自然環境と共生する文化を自らの特徴として打ち出しています。アルネ・ネスの唱えたディープ・エコロジーなどでは、その憲章において、自然に密着したフ…

現在アイヌは、北海道、サハリン、本州東北部にしか住んでいないのでしょうか。私の住む幸手市のサッテは、アイヌ語由来の地名だと聞いたことがあります。

現代においては、いわゆる本州地域にどの程度のアイヌの人びとが暮らしているかは、判明していません。調査に応じない人びと、申告のない人びとがいるためです。ただし、東京に相当数の人びとがいて、独自のコミュニティを作っていることは分かっています。…