2019-04-22から1日間の記事一覧

何かを批判している説を再批判することは重要と思ったが、自身の意見への批判は考慮しないのだろうか? 他の選択肢はないのだろうか?

優しい意見ですね。ひとつ誤解があるかもしれないと思うのは、非難と批判とは異なる、という点です。非難には「咎める」といったニュアンスがあり、相手の人間としてのあり方も含め、「正す」という行為になります。場合によっては、人格否定を含むこともあ…

なぜ養殖には小型獣が用いられたのでしょう? シカなどは利用に向かなかったのでしょうか?

近代日本の毛皮養殖については、近世までに北方地域で行われていた毛皮交易の歴史を踏まえて行われています。日本は中世辺りから本格的に参入してゆきますが、古来、中国王朝とその北方周辺地域で珍重された毛皮は、最高級のものがクロテン、そしてギンギツ…

歴史学や民俗学、民族学、パブリック・ヒストリーなどそれぞれ名前が違っており、現状では異なるものとして扱われているようだが、果たして区別する必要があるのだろうか?

歴史学や民俗学、民族学(文化人類学)は、それぞれ対象や方法論、学問的伝統が異なりますので、隣接する分野ではありますが同じ学問とはされていません。歴史学が、文字で書かれた記録=史料を素材として過去の事実を追究してゆくのに対し、民俗学は、口頭…

朝廷ではない幕府などは、元号をどのように政治利用していたのだろうか?

武家政権の力が強くなってゆくと、朝廷の権限であった改元も、幕府側、もしくは武家の主導者の要請によって行われることが多くなってゆきました。江戸幕府に至ると、「禁中並公家諸法度」によって、朝廷は元号の考案は行うものの、施行の権限は幕府に掌握さ…

毛皮獣の施設の記録が残らなかったというお話ですが、それはなぜですか? 軍が絡んでいたかもしれないとはいえ、それほど機密にしなければならないことだったのでしょうか?

盛岡の毛皮獣養殖所については、もともと農林省や軍部の後ろ盾があって運営されていた施設でしたが、戦後毛皮獣の需要がほぼなくなってしまったこと、帝国の諸機関が解体されて運営の基礎が消滅してしまったことから、なし崩し的に廃絶に至ったと考えられま…

「令和」についてのお話で、大伴旅人が隼人の大量虐殺を指揮した残虐な人であると聞き、驚きました。

これについては、少し誤解があるかと思います。授業では、旅人による隼人の反乱の鎮圧の問題を指摘しましたが、それは彼自身が、人間として残虐であったということを意味しません。大伴氏は、氏族として王権の直轄の武力であり、時代が氏族制から律令制に移…

誰も研究していない分野やテーマは、そもそもどのように見つけるのか? 先行研究や史料のないときの不安はないのか? / どういう経緯で毛皮獣の養殖に目を付けたのですか?

今回の毛皮獣の件は、いってみれば偶然がもたらしたものでした。少数民族政策の勉強のためにロシアへ留学していた元教え子から、「こういう話があるんですよ」と教えて貰ったのです。ロシアでは現在でも、必ずしも毛皮をとるためではなく、キツネをペットと…