2019-07-15から1日間の記事一覧

腐ったイザナミの身体には、なぜ雷神が成っていたのか。神が体に発生するのは悪いことなのか。 / 死者にも生者にも一緒に行けないことを分からせるというのは、お葬式から帰ったとき、家に入る前に塩を撒いたりするのと関係があるのでしょうか?

授業でもお話ししましたが、落雷は稲作における豊穣のシンボルであると同時に、巨大なエネルギーを持ち実質的な被害も生む、「怖ろしいもの」の代表でもありました。イザナミの身体に雷神が成っているというのは、体の各所が「ものすごい状態」、具体的には…

歴史上、絵巻や文書などで、黄泉国はどのような捉え方をされ、どのように描かれているのでしょう。

残念ながら、人口に膾炙している割に黄泉国の史料は少なく、恐らく絵画として描かれたものはありません(装飾古墳の壁画を黄泉国といってよければ、それだけです)。絵画資料が発達してきたときに、同時に仏教も大きく展開し、とくに平安時代の源信撰『往生…

現代のような火葬が始まったのはいつですか。

現代のような…といわれると、それは近代に入ってからです、という回答の仕方になってしまいます。近世の日本列島では土葬が主流で、ほぼ、火葬を行うのは浄土真宗の門徒に限られていました。それが一般化したのは近代以降で、主に都市の衛生化、埋葬地の縮小…

アニミズムの神々には、何らかの自然事象を象徴する神でもありながら、また別の何かを表象する神である、ということが多いように思います。古代人は、現代人とは違った概念で自然をみていたのでしょうか。

もちろん、ある程度近代科学を介して自然をみているわれわれと、古代的な論理で世界を把握している当時の人々とは、考え方も感じ方も異なっていたとみられます。例えば(これまでにもいろいろ言及はしてきましたが)、列島を含むアジア地域で最も多様な神格…

日本と中国の死生観の相違や共通点についてレポートを書きたいのですが、史料や遺跡などについて調査すれば分かるものでしょうか。日本を一括りにして、普遍化できるものでしょうか。

充分な質・量の史資料を収集し、きちんと分析できれば、ある程度のことは分かります。先行研究もいろいろありますので、最新の研究を参照してください。なお、日本にしても中国にしても、限られた史資料から普遍化するのは危険です。授業では、時間もないの…

日常の生活空間とは隔絶したところに死者の世界が置かれた、ということは、縄文時代とは、墓の位置も含めてずいぶん考え方が変わってきたようです。

そうですね。古墳時代は、一般庶民の死者もしくは死後の世界に対する考え方は、実はよく分かっていません。日本列島は土壌が酸性のため、骨などが長い期間に融解されてしまい、庶民の墓を見出すことがほとんどできないからです。遺棄されていたか、それとも…

国や地域を越えた神話の研究を、大学の4年間の学びで行うのは、範囲が広すぎて大変でしょうか?

古代神話の研究は面白く、また一般にも関心が高いところだと思います。しかし、これを扱うのはなかなかに厄介です。とくに比較神話ということになると、複数の言語に精通する必要が出てきます。例えば、あくまで評論レベルでギリシャ神話・日本神話の比較を…

前回のリアクションで、埋甕に描かれた絵は「女性を戒めたもの」と誤解されてしまいましたが、男女に関係なく、「同じことを繰り返さないよう、過ちのないよう注意する」という意味で描いたとは解釈できませんか?

うーん、いいたいことは分かります。まずあの絵画ですが、これもずいぶんと想像の余地があるわけですが、女性の身体、とくに生殖器の部分と地面とを繋ぐような影が描かれているものです。状態としては、嬰児の骨が納められ、住居の入口部分に埋められていま…

古墳時代のアニミズムは、日本での多神教の発展となにか関係があるのでしょうか?

通説的にはそうなりますね。しかしもう少し考えたいのは、アニミズムにも各時代ごとに相違があり、情況が異なるということです。「多神教」という言葉でよく引き合いに出されるのは「八百万の神」であり、一般には森羅万象に宿った神霊などともいわれます。…