2019-10-11から1日間の記事一覧

異なる地域でも似たような自然環境だと、似たような伝承や神話が生まれる…といったお話がありましたが、古代の宗教にも適用できる見方でしょうか? 研究してみたいのですが難しいでしょうか?

宗教も大枠的にはひとつの〈物語り〉であり、その発生は自然環境のありようと、それに対する民族集団なり、地域社会なりの関わり方によって決まります。そのパターンは無限にありうるでしょうが、現実にはヒトの思考傾向、身体性によって、意外に限定されて…

先住民の女性たちが白人交易者の妻になり、主体的な役割を果たしたとのことですが、なぜ彼女たちは乱獲を助けるようなことをしたのでしょうか。

まず、〈コモンズの悲劇〉という現象を勘案しなければなりません。ある自然環境を共同体が共有していたために、誰もが他の人間に取られる前にと資源を利用し、保全や保護を省みなかったために、環境自体が破壊されていってしまうというジレンマです。一般に…

ヨーロッパ諸国が北回り行路で北米に侵入した遠因としてキリスト教の習俗が関係しているなら、キリスト教含め宗教が自然の迫害を推進する一番の加害者である、と位置づけられますか?

もう遠い昔に共編の本に書いたことですが、確かにリン・ホワイト『機械と神:生態学的危機の歴史的起源』以降、今日の地球規模の環境破壊の淵源はキリスト教にある、という見方が人口に膾炙しています。事実、授業で扱っている大航海時代以降の植民地収奪に…

イギリスやフランスが交易で先住民に武器や火薬を渡したとして、彼らはそれを効率的に使用できたのだろうか。また、抵抗活動に利用されたら逆に困るのではないか。

まさにそのあたりのことが、交易のポイントなのでしょう。ヨーロッパの武器や火薬は先住民の間で珍重されましたが、当然そこには、それが(最大限には)有効活用されないような配慮があったと思われます。まずは価格の問題、極めて高値で取引することによっ…

アメリカ先住民の女性たちのうち、交易者の妻になった人々について、会社間の競争が激化するとお互いが彼女たちを利用するようになったとのことですが、その経緯がよく分かりませんでした。

ぼくの説明の仕方が悪いのですが、まずは、先住民女性に対する認識が多様であったこと、やはり根底にはヨーロッパ至上主義的な差別意識が存在したこと、また当時は白人と先住民との区別なく男性優位の社会であったことが前提です。女性が、男性によって道具…