行った列車が戻ってくるというのはどういうことなのでしょう。

終着駅を冥界とすれば……ということですね。これはもう想像の領域ですが、アニミズム世界では神霊はあらゆる世界を移動できるので、例えば仏教・バラモン教の輪廻の概念のように、現実界との重なりのなかに蘇生してくる神霊があったとは考えられないでしょうか。かつてはそれが自然かつ健全で、多くの命=神霊が、現実界・霊界・冥界の間をいったりきたりしていた。それが近年、主体性の喪失が顕著になると、冥界にいったまま戻ってこなくなる神霊が多くなってしまった。冥界は肥大し、霊界は縮小しつつあって、それが危機の真相なのではないかと思えます。