T君・I君の報告についての講評
とにかく、レジュメの量が膨大でした。授業でもいいましたが、そのことには敬意を表します。内容的にも、舒明即位をめぐる『書紀』の記述の整理、これまでの研究史がまとめられていて、後に報告をする人には資するところが大きかったと思います。問題はプレゼンの仕方ですね。発表をしているうちに、聞いている側への配慮がだんだんとなくなってきて、とにかくレジュメの記載を喋るだけになってしまう。これは困ります。要点をきちんと押さえ、レジュメを読んでもらえば分かるような場所は省略するか簡単に済ませ、なるべく時間内に収める努力をする必要があるでしょう。そうした臨機応変の対応をしてゆくためには、一度作成したレジュメをもう一度読み直し、全体の内容を自分のなかで消化して、報告に望むことが大事です。このことは、何も今回の報告に限ったことではなく、受講生全員にもいえることでしょう。
翻刻の方は、多少の見落とし、また読み下しの際の分節の仕方に多少の難はありましたが、おおむねよく出来ていたと思います。それからI君は、せっかく近代史の立場で受講しているのですから、近代史の目からみた『書紀』、皇位継承問題などについて話してくれると面白かったのではないかと思います。