大殿祭は建物の守護神を維持する祭儀に思えますが、そのなかで、木を伐り出した山へお礼を述べに再訪する儀式などはなかったのでしょうか。

果たしてそうした祭祀があるかどうか、寡聞にして知りませんが、例えば大殿祭の祝詞のなかに山での儀礼が読み込まれているように、家宅の守護神=樹霊を祭祀することが、間接的に山神を奉祀することにも繋がっていると考えられます。人間と山神との関わりは建築だけではなく、農耕や祖先崇拝などにも密接に関わってきますので、あえて御礼に再訪しなくとも、人々の日常生活においては常に山が意識されていたとみるべきでしょう。