珂瑠皇子の帝王教育のため「善言」が集積されたとありましたが、具体的にどのような教育が行われたのでしょう。そのなかには占いも含まれたのでしょうか。

『善言』が関係するのは、中国的(儒教的)君主観に裏打ちされた徳を高めるための教育でしょう。善言とは仁・義・礼・智・信の五常、孝や忠といった儒教的美徳の表れた発言でしょうから、それらを勉強することで背景となる社会秩序、君主の役割を理解し、徳に溢れた治政を実現することが求められたと考えられます。帝王教育に易が含まれたかどうかは分かりませんが、最高の祭祀者たる天皇の立場上、神意を聞き取る方法=広義の卜占(占夢など)は習得させられたのではないかと思います。