『春秋』には予言が含まれていると考えられていたとのことですが、それでは作者とされた孔子も予言をしていたのでしょうか。

孔子自身は予言をしなかったでしょう。彼は晩年『周易』も学んだようですが、あくまで宇宙の変化する理法を研究したものと考えられます。しかし、「快力乱神を語らず、で、孔子は論理的なものしか扱わなかった」という近代的解釈には反対です。儒教のなかで聖人化されるにつれ、孔子には次第に超人的な力が付加されてゆき、易もその過程で結びつけられたものと考えられがちです。しかし、例えば周公旦を夢にみることで天命を自覚していたように、彼自身超自然的なものをまったく否定していたわけではありません。きちんとした論理に立ったうえでなら、予言もしたかも知れません。