史料7で、なぜ始皇帝は湘山の神が娥皇と知ってなぜ激怒したのでしょうか。彼には祟りを恐れる気持ちはなかったのでしょうか。

戦国時代までの中国においては、人間がなることのできる最高位は〈王〉であり、〈帝〉は神でした。始皇帝は戦国の王たちを尽く滅ぼし、初めて全土を統一したので、人間以上の神に等しいものとして〈始皇帝〉を名乗ったのです。娥皇は尭の娘で舜の妻ですが、二人とも三皇五帝のうちですから始皇帝と同等の地位であり、その妻などは始皇帝より格下にみられるべきものです。そうした存在が行く手を阻んだので、彼は激怒し湘山を〈処罰〉したのでしょう。