治水と樹木にどのような関係があるのか、よく分かりませんでした。

山間部では、山の木を伐り過ぎるとその保水力が低下し、鉄砲水が起こりやすくなるので、「木を伐ると洪水が起きる」との俚諺や伝承が生じることになります。中国の場合は、講義でも扱いましたが、伐採が農耕開発に結びつくことから、樹木を雨神や水神と同様に豊穣を保証するものとみる心性が育ったようですが、『詩経』でみたように、灌漑に用いる河川がその連関のなかに加えられ、治水と樹木伐採とが結びつく事例もありました。1月に詳しく扱う太秦では、そうした繋がりがより顕著にみられます。