里山での樹木伐採を正当化するために、当時の人々が大木の秘密のような呪術的民話を利用したのは理解できるが、その後、同じ目的のために樹木婚姻譚を取り入れたのがよく分からなかった。

樹木婚姻譚は、大木の秘密のように単純に自然への勝利を語るものではなく、樹木と人間との交流を細やかに描いている点がネックですね。授業では背景にある山々の荒廃を強調しましたが、常に樹霊というものの実在を意識している木鎮めの文化、それを担い続けた人々がいなければ育ってこなかった物語だと思います。背景はきちんと押さえておかなければなりませんが、共生を志向するベクトルが内在しているのも確かですね。