破邪の文様や副葬品が描かれている装飾古墳の石室内には、今までの古墳と同様に、実物の副葬品はあるのでしょうか?

個別に判断すべき問題でしょうが、壁面に描画されているからといって、副葬品が少なくなることはありません。むしろ、凝った壁画を残す古墳は、それだけ先進的な文化を受容しうる、多くの工人・技術者を抱えうる政治集団のものでしょうから、それなりの副葬品が埋納されるとみていいでしょう。例えば、国内で最も多彩な彩色壁画を持つ王塚古墳も、馬具(鐙・杏葉・轡・雲珠)、変形神獣鏡、装飾品(管玉・棗玉・切子玉・小玉・耳環・銀鈴)、武具(横矧板鋲留短甲・頚甲・肩甲・小札鋲留眉庇付冑・剣身・鉄鉾・鉄剣・鑿・鉄刀・鉄鏃)、土器(台付壺・提瓶・高坏)など、大量に出土しています。