古代の人々は、なぜ呪いやまじないの類を信じたのでしょうか。

宗教や呪術は、前近代において科学と同じ役割を果たしていました。現在私たちは、世界や宇宙を認識する知の体系として自然科学に依拠していますが、世界がどうなっているのか、宇宙がどのように成り立ち存在しているのかを教えてくれるのは、前近代においては神話や宗教の仕事だったのです。無知だ未開だと思うかも知れませんが、私たちだって、自分では確認できない(実験できない)知識を真理として鵜呑みにしてしまっていることが多いのではないでしょうか。とすれば、レベルとしては古代人と何ら変わりがありません。天や神の意志を直接聞くことのできる卜占、祭祀の類は、科学の最先端の領域に等しいのです。