死者の魂が浮遊する天にある太陽が、それゆえに特別な存在とみられたのだとすれば、アマテラスとの関係が気になる。太陽は霊魂の集合した姿だとはみられなかったのだろうか。

太陽にはさまざまなイメージが習合していると思われますが、確かに最高の霊格であるという認識はあったと思います。ただし、それが死者と直結するようなことは、中国でもなかったようです。しかし、『日本書紀』によるとアマテラスの霊威はすさまじく、最初は宮殿内に祭っていた崇神天皇も、巫女に託してその存在を遠ざけます。当初その移遷を担っていた皇女は気がおかしくなってしまい、最終的に倭姫命が伊勢への鎮座を成功させるという経緯もありました。平安時代天皇家に最も祟りをなしたのは、三輪の大物主でも御霊の菅原道真でもなく、皇祖神のアマテラスだったという統計もあります。どうも、アマテラスは、慈悲深い女神といったイメージではなかったようですね。