西の山が死者の世界であるのなら、東の山にはどういうイメージがあるのだろうか。

東は太陽が昇るところですから、神聖で生命力に溢れたイメージとなります。たとえば二上山に対応する三輪山は、もともと王権の太陽信仰の聖地で、歴代の天皇霊天皇の霊魂というより、その霊的権威を保証するエネルギー)が宿り、皇位継承にも深く関わる存在であったようです。『日本書紀崇神天皇四十八年正月戊子条には、皇位継承者を定める夢占において、三輪山に関する夢が対象となったという伝説が記されています。そこでは、三輪山において周囲を縄で囲い、粟を啄む雀を追う夢をみた皇子活目尊が、皇位を継ぐように定められています。