史実ではなかったという崇仏論争を、教科書が事実として書いているのはなぜですか。

教科書は、もはや定説として動かないであろう学説を分かりやすく記述するので、学界の水準からすると10〜20年遅れています。崇仏論争の件は、ぼくと数人の学者が見出した最新の学説なので、学界では反対意見は出ていないものの(近年、『書紀』に対する史料批判がより高度に展開しているため、その記事をそのまま史実と受けとる学者はほとんどいなくなっています)、教科書には反映されていないのです。