六斎日は、いつも以上に神に祈願する日というよりは、物事を慎まなければならない日といった捉え方なのでしょうか。

そうですね。この問題については、以前、『日本仏教34の鍵』(法蔵館、2003年)という本に簡単に解説したことがあります。上智の図書館にもあるので参照してください(182.1:N7111)。また、六斎日の信仰は、中国の六朝時代に民間で確立され、隋の時代に日本へもたらされました。その時点で、やはり道教などとの習合が認められます。四天王が人々の善悪を監視するという見方は、『長阿含経』『仏説四天王経』などに説かれていますが、道教にも同じような信仰があって、日本の各地で現在も息づいています。「庚申信仰」とよばれるのがそれで、干支の庚申の日は、人間の体内に住む三尸という虫が睡眠中に抜け出して天へ昇り、天帝に宿主の悪事を密告する。だから当日は複数の人が集まってお互いを見張り、徹夜して寝ないようにするという習俗です。これを記念した「庚申塔」という石塔が、古道の境などによくみられます。自宅の近所にもみつかるかもしれませんよ。