四天王と閻羅王とでは、立場に上下関係などあるのでしょうか。

四天王はインドで習合した方角神で、仏教の守護神=天部として須弥山に住んでいます。閻羅もインドの冥界の王ですが、中国で泰山府君と習合し、本来、現世での救済を本義とした仏教のなかではやや特殊な位置を獲得します。両者には確固たる上下関係はないようですが、四天王が上官の帝釈天とともに人間の善悪を計る立場にあったとすれば、閻羅王はその計量に基づいて地獄で待ち受け、さらに細かい量刑を下す存在ということになります。四天王の指示を受けたのは、その管轄の相違からでしょう。しかし人々の心性の面からいえば、四天王には死にゆく運命から救ってくれる「増益」(寿命を延ばすこと)の利益が期待されていた表れとみることができます。