国見についてですが、天皇が「みる」ことによって権力が浸透する、と認識していたのは誰なのでしょう。

主に支配層ですが、みること/みられることに呪術的な意味を認めていたのは広範な階層だったようです。古代中国では、戦争の際に媚女というシャーマンが相手をみつめて呪う、呪術合戦が行われます。目を象徴的に表した青銅器の類も見つかっています。いまの私たちにも、「視線を感じる」ということはありますが、古代の人々はそうしたセンスにより鋭敏に反応したのでしょう。もし天皇の国見の行われたことが喧伝されれば、当該地域の人々は呪力をもって「みられた」ことに脅威を感じたのではないでしょうか。