古代から存在する「鬼」について興味があります。今では妖怪のようなものを思い浮かべますが、古代でもそうだったのでしょうか。中国では「魂」といった意味であったと聞きましたが。

中国で成立した「鬼」という文字自体、朽ち果てた頭蓋骨と肢体の残骨を象形したものです。中国古代ではこの頭蓋骨に霊を呼び寄せて祭祀を行い、それを立てておく台の木主が、やがて位牌に姿を変えてきました。ゆえに鬼とは屍体、転じて死霊を総称する言葉として用いられています。日本古代でも、当初は同じような意味合いで使われていますが、やがて陰陽道の鬼門が東北=丑寅を指すことから「牛」「虎」のイメージが結びつき、牛の角を持ち虎のパンツをはいた妖怪の造型が出来上がってゆくのです。