道教における「天皇」は神と同義なのですか。/「天皇」という称号は太平道では「天公」の字が充てられていますが、「皇」「公」の間に乖離はあるのでしょうか。

道教のなかでも時代によって位置づけが変わってゆきますが、後漢から唐にかけてが最も高い位置を与えられているようです。北斗の中央に位置する高位の神ですが、天・地・人のカテゴリーや星神のカテゴリーに組み入れられ、何神かのセットとして扱われることも多い存在ながら、この時期には儒教最高神たる昊天上帝と同義に認識されたり、唐高宗の諡号として「天皇大帝」という表現が使用されたりします。なお、「皇」の原義は王の冠の輝きでそれに憑る神霊も意味し、やがて天子に関わる文脈で使用されるようになります。一方の「公」は儀式の場たる宮庭が原義で、その場を統括する首長の称号へ転化してゆきます。そちらも支配者の意を含みますが、「皇」の方が至高の存在に使用されるとみていいでしょう。