田単火牛、江ユウ熱雞

【レジュメの訂正点(主要なもの)】
・「燕」の説明について(レジュメp.2注7)……召公奭を「武王の弟」とするのは誤りです。周王室と同じ姫姓であることは確かですが、彼がいかなる出自の人物であったのかは定かではありません。
【注意すべき漢文訓読のスキル】
・【スキル】というわけではありませんが、用語解説の典拠として『広辞苑』を用いるのは不適切です(言辞の説明なら可)。人名などでは正確ではない説明もあるようですので、注意してください。
・「旧注」(レジュメp.7-l.13)……これは何を指すか分かりますか。『蒙求』における徐光注より前の注です。現行『蒙求』の成立過程からして、注意を要する部分です。
【テーマについて】……授業中も指摘しましたが、『源平盛衰記』における義仲の火牛の策は、どうも虚飾の疑いが強いものです。同書には500頭もの牛を近隣の農家から集めたとありますが、倶利伽羅峠付近の山中で可能であったとは到底思えません。また、角に松明など付けたら、牛は怒るより混乱してしまうでしょう。源平合戦や戦国に至る戦史には非常に誤りが多く、現在はその見直しが進んでいるところです。川合康『源平合戦の虚像を剥ぐ』(講談社選書メチエ、1996年)、近藤好和『弓矢と刀剣』(吉川弘文館歴史文化ライブラリー、1997年)・『騎兵と歩兵の中世史』(吉川弘文館歴史文化ライブラリー、2004年)、藤本正行『信長の戦争』(講談社学術文庫、2003年)などが必読文献です。ぜひ冬休みにでも挑戦してみてください。