古代の人は、「木霊」のように、何にでも神や霊が宿ると考えていたのですか?

それがアニミズムという原初的な宗教の形態です。近代的学問に支えられた世界観を持つ私たちは、身の回りの命について考える場合、まず生物/無生物という類別を持ち出しますが、アニミズムにおいてはそうした差違はありません。森羅万象のあらゆるものに神霊が宿ります。猫や犬に命があるのと同様に、土や石、雲や風、雨にも神霊が宿っていて、その働きがそれぞれの営みをコントロールしていると考えるのです。例えばアニミズムと重なり合う宗教形態にマナイズムがありますが、この考え方では、あらゆるものがマナというエネルギーの働きによって活動していると認識します。例えば弓によって放たれた矢が飛んでゆくのも矢のマナの働きであり、その力の大小によって到達する飛距離にも差が出るというわけです。