先生のブログに『ICO』『ワンダと巨像』『大神』というテレビゲームが並べて紹介してありました。これらは、先生のいうアニミズムや、神々と自然の不気味さをよく表していると思いますが、先生のお考えはいかがでしょう。

そうですね、これは比較して論じると非常に面白いテーマだと思います。前二者はどちらかというとヨーロッパ的(北欧もしくはイギリスの臭いがします)なアニミズムを湛えていますが、石と草原が主要な舞台で、森林がほとんど出て来ないのが特徴的です。精霊も光/影のように二元的な位置づけで、あまり多様なイメージ、豊饒な生命力を感じません。ワンダに登場する巨像たちは圧倒的ですが、その崩壊する姿は非常に哀れで、全体的に人間の破壊の愚かさを痛感させるような作りになっている気がします。後者の方は賑やかな日本的アニミズムに貫かれており、『古事記』『日本書紀』の神々から昔話の登場人物が一堂に会している点など、90年代からブームになっている中世神話の印象です。単純な絵柄ですが、動植物の動きなどが結構リアルなのも面白い点です(前者は非常にリアルなCGで描いていますから、絵画論としても比較できるかも知れません)。ただし注意しなければいけないのは、両者ともが日本人の作品であるということで、そういう意味では「指輪物語的ファンタジーパラダイム vs 日本中世神話的パラダイム」という、ポップ・カルチャー限定の視角で扱うべき作品なのかも知れません。