歴史について学ぶとき、良い書籍と批判的に読まれるべき書籍とはどのように見分けるのでしょうか。
あらゆる学問において共通することですが、まず、良い書籍か悪い書籍かという先入観を捨て、そのうえですべての書籍を批判的に読むことが重要です。世に権威と謳われる大研究者の書いた大著でも噴飯ものがいくらでもありますし、逆に大学や研究機関に所属していないまったく無名の研究者が書いた論文でも、永久に価値を失わないだろうと思われる優れた作品があります。しかし一般的な基準をいうなら、まず参照すべきは、史料批判という歴史学の基本スキルをきちんと訓練した、30〜50代の研究者の書いたものが知の最前線を歩んでいますので、まずはそのあたりを押さえるべきでしょう。時流にのって短期間に書かれたと思われるような文庫、新書や選書、文字の大きな単行本の類は、あまり読む価値はないですね。末尾の注や参考文献をみて、どれだけ広範囲の領域の書物に目を通しているか、最新の研究もきちんと押さえているか、筆者の勉強量をチェックしておくことも大事でしょう。