粟田真人=道観の記述は間違いの可能性があるそうですが、誤字はともかく、写す箇所を間違えるなどのことはよくあるのでしょうか?

よくあります。写本のなかにはかなりいい加減に写しているもの、内容を読んだり理解した形跡がなくひたすら書き続けただけのものが多くあります。それらのなかには、並んだ行に似たような字や言葉があると簡単に重複する文章を書き足してしまったり、逆に間に入った文章をまったく欠落してしまうなどの事例があります。道観について書いた『書紀』の写本の場合は、定恵の下に書かれていた「俗名真人」の注が、隣接する行の道観の下に紛れ込んでしまったものと考えられます。