『旧約聖書』にみえる王の人口調査に対する神の怒りと、古代日本の壬申の乱との間には類同性が認められるとのことですが、日本は天皇=神と認められていたので、抵抗が起きたとすれば違う理由だと思うのですが。

講義でもお話しましたが、天皇が現御神と位置づけられてゆくのは天武・持統朝以降のことなので、壬申の乱が神の怒りの結果だと表現されたとしてもまったく不思議はありません。また、天皇即神の成立以降でも、神が天皇に祟った事例は幾らでもあります。そもそも、天皇家の祖神である天照大御神自体、毎年天皇に降りかかる災禍をトう御体御トで〈祟り神〉としてト定されているのです。