絵馬の原型は土馬であるとのことですが、絵馬は願いをかけるもの、土馬は穢れを祓うものとすると、使用目的がずいぶん異なるように思います。どのような経緯で変化が起きたのでしょう。

土馬は、講義でも触れたように、自分で走ることができないよう足を折って流します。難波宮跡からは、7世紀に属する最古の絵馬が20枚余り出土していますが、やはり足の部分を折り割ったものが複数見受けられます。当初は、土馬と同じような利用の仕方をしていたのでしょう。ところで、馬は祓の他、神への奉納物=生け贄としても重視されていました。これは憶測に過ぎませんが、この生け贄としての馬も、逃げ出さないよう足に何らかの細工をしたのではないかと思います。神社に捧げられる絵馬は、この生け贄としての馬の代用品です。土馬とは直結しませんが、やはり当初は、同じような使用の仕方をしていたと考えられます。