憲法十七条における「和」の教えが、儒教などに由来すると聞いて驚きました。日本の旧国名「倭」とは音通していますが、関係はないのでしょうか。

日本列島に暮らしていた人々が、なぜ中国王朝によって「倭人」と把握されたのか、自分たちがそう名乗ったのか、あるいは別の理由でレッテルが貼られたのか、そもそも「倭」とはどの範囲・領域を対象とした呼称なのか、詳しいことはよく分かっていません。他の民族の名称をみてみますと、それは「自分たち」もしくは「人間」を指すことが多いので、同様の意味のワ(漢字で書くと「吾」)に中国人が「倭」字を当てたという考え方(『釈日本紀』)には蓋然性があるでしょう。儒教的概念の「和」に基づくものでないことは確かです。