なまはげは鬼の姿をしていますが、その原義は年の暮れに訪れる神霊です。折口信夫は、これをマレビトと呼び、子孫に幸いを授けるためにやってくる祖霊で、神の原義であると捉えました。なまはげの目的は、囲炉裏の前に長く暖をとっていると足に生じる火斑を、子供や初婿・初嫁を対象に剥ぐことですが、これが新年を迎える準備になり、怠慢に対する訓戒にもなったようです。子供を襲っているようにみえますが、危害を与えたり災厄をもたらしたりしているわけではないんですね。鬼のような面は方相氏と同じ論理で、神的力がかえって警戒されるようになり、しかしその本義が笑いや娯楽のなかで生き残ってきたものといえるかも知れません。